【恭介side】


長い冬休みも、もうすぐ終わる。

篠山の親戚の旅館に泊まって、思い出とやらができた。

ま、ろくな思い出ないけど。


それより今は…愛海をアメリカに返すこと。

この前突然かかってきた電話。

知らない電話番号だったけど、とりあえず出た。

愛海の母からだった。


《…あの子。そっちにいる?》

「はい。います」

《愛海は、私たちが愛海を愛してないと思ってるの。

でもそれは違う。愛してるの。それをちゃんと伝えたい。

だから…どうかこっちに帰ってくるように言ってもらえないかしら》

そう電話がきた。


愛海が日本に来た理由は、両親と一緒にいたくなかった。

俺に会いたかった。

そういう理由だった。

でも、愛海の両親が心配してるだろうとわかってた。


「愛海。お前アメリカに帰れ」

「え?!なんで急にそんな…」

「…愛海のこと心配してると思う。あのひとたちなら。

愛されてない?そんなわけねーだろ。」