だから涙が出ちゃう。


「私、恭介君が好き。
今更なにいってんだって…ヒック…最低だって。
そんなことわかってるの。」

「そうなるんじゃないかなって思ってた。

優衣は、一途で真面目で。だから辛い。わかってるから。もう泣くなよ」

大翔君は頭をポンポンとなでた。



「あいつに負けても、しょうがないよな」

ボソッと大翔君がそう言った。

「違う…負けとか…それは違う。絶対」

大翔君は急にキョトンとした顔になった。


「大翔君は大翔君なの。人と比べるなんて…勿体ないよ。」

「…フッ。サンキュ。家まで送ってくよ」
少し笑った大翔君。どこか寂しそうだった。

大翔君は私の家まで送ってくれた。

いつもみたいに、私が家の中に入るまで見届けてくれた。

「がんばれよ」

最後にそう聞こえた。