そっと握ると勢いよく顔を上げる笹沼くん。


「でも私、やっぱりまだ柳瀬のこと好きだから」

カレに自分の正直な想いを伝えると、嬉しそうに顔を綻ばせた。


「ちゃんと分かっているよ、ずっと見てきたんだから。……いいよ、柳瀬のこと好きなままで」

ギュッと握り返される手。


「いつか俺のこと、好きになってもらうよう頑張るから」


あまりに笹沼くんが嬉しそうに笑うものだから、私が出した答えに花丸を貰えた気がした。


柳瀬のことが好きなままで、この手を取るべきではなかったのかもしれない。


でも手を取らずに後悔するより、手を取って後悔した方がいいと思ってしまったんだ。




カレならきっと私の気持ちを上書きしてくれるかもしれないと。

初恋を忘れられるほど好きにさせてくれると、思ってしまったんだ。