「え、笹沼くん?」

突然の行動に声を上げてしまうも、カレは頭を下げたまま言った。


「俺の軽はずみな考えのせいで、皆森さんのことを傷つけてごめん!」

「そんな……」


「俺があんなこと言わなければ、皆森さんのこと傷つけなかったかもしれない。もしかしたら、柳瀬に告白できていたかもしれないだろ?」


頭を上げた笹沼くんの表情は、苦しそうで今にも泣き出してしまいそうだった。


「皆森さんには幸せになってもらいたい。……できるのなら俺が幸せにしたいなんて思っておきながら、自分では動こうとしなかった。本当にごめん、でも――」


そう言うと笹沼くんは小さく深呼吸した。


「俺ももう二度と後悔したくないんだ。……だから言わせてほしい」


見つめられるたびにトクン、トクンと音を立てて鳴り続ける胸の鼓動。


「皆森さんのこと、一年のときからずっと好きだった。皆森さんが幸のことを好きだって気づいても消せなかったんだ。……幸への想いを無理に消して欲しいわけじゃないけど、俺、頑張るから! 俺が皆森さんの気持ちを上書きしてみせるから」


一呼吸おいて、言い放った。


「俺のこと、好きになって欲しい」