「でも体育祭の日、偶然見て数日後に幸から話を聞いたときは耳を疑ったよ。勘違いして光莉のこと好きになっているし。何度も幸に違うって言いたかった」


窓を見つめていた視線は、再び私に向けられ胸がトクンと鳴った。


「見ていられなかった。幸のせいで傷ついていく皆森さんのこと。……だから言ったんだ。もう幸への想いを絶ち切って欲しかった。……欲を言えば、俺を好きになってほしかった」


ストレートな想いに目が泳いでしまう。

どうしよう、笹沼くんの顔が見られない……!


次第に視線は落ちていき、床を捉える。
すると手をギュッと掴まれた。


「お願い、最後まで話しを聞いてほしい」

「あっ……!」

そうだよ、笹沼くんは最後まで話しを聞いて欲しいって言っていたのに。

咄嗟に顔を上げると、再び絡まる視線。


「皆森さんと話すようになって、真っ直ぐな皆森さんを近くで見ていたら、自分の言動がいかに幼稚だったか思い知らされたよ。……一番悪いのは俺だ。告白する勇気もないくせに、皆森さんに好きになってもらおうなんて、都合のいいことばかり考えていたんだから」


ゆっくりと離される手。

すると笹沼くんはいきなり私に向かって頭を下げた。