「でも俺が皆森さんの気持ちに気づけたのは、俺が皆森さんに特別な感情を抱いていたからだと思う。……幸の前ではいつもより可愛かったし」

「……っ!?」


可愛いなんて……!

笹沼くんの口から出たとは思えない単語に、ますます顔は熱くなっていく。

笹沼くんは話を続けた。


「何度も諦めようと思ったよ。好きになっても報われないって分かっていたから。……でも好きって気持ちは、簡単に消せなかった。むしろ二年で同じクラスになって、毎日同じ教室で過ごすたびに好きって気持ちは膨れ上がっていったよ」


切なげに目を細める姿に、胸が締めつけられる。


「それと同時に幸のことが本当に好きなんだなって理解出来た。だから気持ちに蓋をしようと思ったんだ。俺は嫌われたままでもいい。仲良くできなくてもいい。皆森さんが幸せになってくれればいいと思った。そばにいられればそれだけで満足だったんだ」


初めて知る彼の本音に、動揺を隠せない。

そんなに前から私のことを想ってくれていたなんて……。