そんなこと言われてしまったら頷くことしか出来ない。


それを確認すると笹沼くんは安心したように頬を緩ませた後、私越しに見える窓を見つめ話し出した。


「俺が皆森さんの存在を知ったのは、幸と友達になってからだった。クラスは違ったけど、よく皆森さん、うちのクラスに来ていただろ?」

「……うん」


そうだった、高校一年生のときは柳瀬とクラスが離れてしまったけれど、その分自分から積極的に会いに行っていたんだ。


中学の友達から連絡あったとか、なにかしら理由を作って。

「そのたびに幸がよく話してくれたんだ、皆森さんのこと。明るくて優しくていい奴だって」


そうだったんだ、柳瀬ってばそんなこと話していたなんて――。


「そんな話ばかり聞かされていたら、嫌でも目で追うようになっていた。最初はよく笑う子だなって印象だった。……でもその笑顔は幸の前では違うって気づいてさ。あぁ、皆森さんは幸のことが好きなんだなってすぐに分かったよ」


クスリと笑う笹沼くんに顔が熱くなる。

知らなかった、そんなに前から笹沼くんに私の気持ちがバレていたなんて。