カツ、カツとチョークが黒板を滑る音が鳴り止んだ。

そこに書かれていたのは光莉への想い……ではない想いだった――。


「……笹沼、くん?」

なにかの冗談?

黒板に書かれた文字を凝視した後、顔を笹沼くんへと向ける。


けれど声が出てこない。

だってこんなの、信じられる?


「悪いけど、嘘じゃない冗談でもないから」

真剣な瞳を向けられ、再度黒板を見てしまう。


『柳瀬が好き』と書かれた横に書かれていたもの。

それは『皆森さんがずっと好きだった』だった。


「俺がずっと好きで告白できなかったのは、皆森さんだよ」

そんなの信じられない。
笹沼くんが私を好き、だなんて――。


「ちゃんと話させて。……もう後悔したくないから、最後まで聞いて欲しい」

ドキッと高鳴る胸。

後悔したくない――。それは私と笹沼くん、共通の思いだった。