電車を降り、走ってやってきた光莉の自宅前。

今日は迷うことなくすぐにインターホンを押した。


「光莉、いるんでしょ!? お願い、話を聞いてほしい!」

気持ちは焦り応答がある前に必死にインターホンに向かって伝えていく。


「私の顔を見たくないならドア越しでもいいから、話を聞いて」

走ってきたせいで乱れる呼吸を整えながら訴えた後、ゆっくりとドアは開かれた。


光莉は金曜日のときと同じく元気がなく、出てきてくれたけれど顔は伏せている。

けれど柳瀬のことを思うと、躊躇う余裕もなく捲し立てるように言った。


「お願い光莉、今から一緒に学校来てくれないかな?」

「え?」


驚き顔を上げた光莉の目元は、やはり腫れたまま。

もしかしたら土日もずっと泣いていたのかもしれないと思うと、胸が痛かった。


けれど余計に私を駆り立てた。

「柳瀬を待たせているの!」

「どうして……っ」

「私が嫌だからだよ!!」