一呼吸置くと、カレは話を続けた。


「でも後悔するたびに自分に言い聞かせるんだ。後悔したって過去は変えられない。ならせめて未来だけは、いいものにしたいって」


“未来だけは、いいものにしたい”


笹沼くんの言葉が胸に突き刺さる。


「いつまでも引きずってばかりいることもあった。でもそれじゃなんも変わらなかった。後悔は後悔のまま。でもそれって嫌だなって思い始めてさ、後悔しているならもうこの先は、二度と後悔しない生き方をしたいって思うようになったんだ」


ハニカムと笹沼くんは頭を掻いた。


「それでもまた後悔しちゃったけどな。……人間、そんなもんだと思う。後悔しない人生を送れる人なんていないと思う」


本当に笹沼くんの言葉が、胸に突き刺さるよ。


そうだよね、後悔しない人生を送れる人なんているはずないよね。

現に私も笹沼くんも、後悔しながら生きているのだから。


「うん……ありがとう」

溢れる思いはたくさんあるのに、一言しか出て来なかった。

それでも笹沼くんには私の気持ちはしっかり伝わったようで、目を細め微笑んだ。