あの時吹いた風とは似つかないものだが、彼の頬に微かな風が当たる。
頬を伝うあついものはない。
色褪せる事のない大切な思い出であり続けて欲しいと彼は思っている、そうに違いない。
履きかけた靴下は黒のハイソックス。
ふくらはぎを大きく包むそれは、この季節には少々暑苦しいだろう。
黒は光を吸収し、遮断する。
強さや権威など神秘的な印象を持つ色だが、他と較べてしまうと負のイメージが潜在的にあるものだ。
彼の心に秘めるものもまた同じ。
そして、彼はまた思いを巡らせる。
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