『デートに行くな』
颯太の声が反芻される。
『…待ってるからね』
詩織の声。

それでも、頭に浮かぶのは。
「真尋は俺が守る」

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『あっ!ひろき!来てくれたんだね、良かったぁ~』
大きく手を降る影が、駅に近づくにつれて大きくなる。
軽く手を振り返す。
『ちゃんと会うの久しぶりだね~!変わってなくて安心したよっ』
「詩織も元気そうだな」
曖昧に返事を返す。自分でも最低だなと思う。見たところ美彩は来ていないようだ。
そんな弘輝の様子など目もくれず、詩織は弘輝の手を握る。
弘輝を見上げ、小首を傾げる。
『早く行こ?』

詩織の愛らしい瞳に見上げられると、他の男なら恋に落ちてしまうだろうな、と毎度考える。低い背を気にして高いヒールのある靴を履いてくるところも、可愛いポイントだろう。握られている小さくて柔らかい手からの温もりが暖かい。
詩織に促され、歩を進める。颯太の忠告など嘘かのように、何事もなく周囲はライトアップで煌めいている。