弘輝は慣れない土地でもすぐに居場所を見つけた。
慣れない土地と言っても、全く知らないわけではない。
幼少期に過ごしていた記憶があるからだ。
隣には同い年くらいの小さな女の子が笑っていた。

そんな回想をしつつ、弘輝は道を進む。
越してきてから、すぐに弘輝と同じ臭いを纏う集団がいることはわかっていた。
弘輝はその集団と交わろうとした。
そのために、毎日とっぷりと日が落ちてから出掛けるのだ。

「よぉ、弘輝!今日も来たのか!」
その場所に近づくと、そんな声を掛けられるようになった。
初めはなんだお前?と追い払われたが、同類だとわかると受け入れてくれる姿勢を示してくれた。やってることはともかく、根はいいやつらなのだろう。