颯太から再び連絡があったのは、弘輝が指定した時間ぴったりだった。

リリリリ、と携帯が鳴る。
電話に出ると、
『弘輝、落ち着いて聞いてくれ』
間髪入れずに颯太の声が響いた。

「どうした?」
『詩織とデートに行くな』
「どういうことだ?」
『ハメられたんだよ。全部美紗が仕組んだことだった。』
「美紗が…?」
『詩織からなんて言われた?』
「夜に公園でイルミデートしようって」
『詩織に公園の情報教えたのが美紗なんだよ。で、美紗も詩織と一緒に行こうとしてる。』
「なんで美紗まで来ようとするんだ?」
『お前わかんねぇのか?美紗はお前が転校したせいで俺からお前に乗り換えるチャンスがなくなったんだぞ?無理やりにでもお前を詩織から奪おうとしてるんだよ。お前だけならまだしも、詩織に被害を及ぼすのは違えだろ。それだけじゃない。美紗はもう、お前の近辺調査を始めてる。俺はお前のことはお前よりわかってるつもりだ。美紗の性格を考えれば、お前だって俺の言いたいことがわかるだろ』
「な…」
詩織は美紗のことを全て理解してるわけではない。
美紗はてに入れたいものはどんな手段を使ってでもてに入れる性格だ。
真尋にも被害が加わらないわけではない。
つまり颯太はそのことを伝えに電話を寄越したのだった。