その日の放課後になって、弘輝は乱暴に体をおこすと教室から出ていこうとした。
S南校はなかなかのマンモス校なので放課後の廊下は生徒でごった返す。

真尋もまた、放課後の廊下を急いで通ろうとしていた。
しかし、教室から出ようとした弘輝の存在に気付かず、ぶつかってしまった。

「いってえな。どけよ。」
それがその日最初に真尋が弘輝に掛けられた言葉だった。
人混みの中でも目立つその金髪を、真尋はしばらく眺めていた。
それが高校生としての真尋と弘輝の最初の出会いであり、運命を狂わせる再開だった。