彼は「望月 弘輝」と名乗った。
手短かに自己紹介を終え、指示された席に着くと、乱暴にバッグを横にかけ突っ伏してそのままずっと起きることはなかった。

弘輝の斜め前の席が、真尋の席だ。
旭 真尋。

真尋は、クラスでもかなり目立たないタイプで、友達との交流も少なく休み時間は携帯を触るか読書をするかの生活をしている。

重めの長髪、分厚い眼鏡、持ち物も流行遅れで、本人が関わる気がないのはもちろんのこと周りのクラスメイトも積極的に真尋に関わろうとすることはなかった。

口数の少なく面白味のない地味な奴、それがクラスメイトの真尋に対する印象だった。