「やっ…、離して…っ!」
このままじゃマズイ。
二人きりになるとこちらが不利だ。
応援を呼ぶか。しかし…。
迷っている暇はない。
ここで無駄な争いは起こせない。
多少の犠牲は必要だが、最小限の犠牲で済ませなくては。

瞬時に様々な考えが巡り、考えが行着いたときには、指が携帯電話を握り締めた。

バイブレーションを一回、二回、三回。
携帯電話を三回震わせるのは、SOSのサインだ。
お願い、気付いて。
真尋は、そう祈るしかなかった。