弘輝は帰路のなか、地味女のことを考えていた。
今日一日、観察していたが本当に特徴のない女だった。
顔はマスクで隠れ、分厚い眼鏡をかけていた。
ただ机に座ってじっとしている以外に何の能も無いのかと自分のことをさておいて驚愕したほどだ。
このクラスは勉強ができるやつもいないクラスのようだし、地味女なら地味女なりに勉強でもしてそうなものだが、そうでも無いらしい。
何やら読書や携帯電話をいじっているようだが、誰と連絡を取っているのか。そんなに熱心に読書をしているのに、なぜこんなクラスにいるのか。
よくよく考えれば謎だらけだった。
見た感じ、特に太ってはいない。むしろスカートから覗く脚はすらりと締まっていてよく鍛えてあるのが見て取れる。
それなのになぜあんなに足が遅いのか。
あんなに動きがのろいのか。
地味女はいつしか、弘輝の興味の対象となっていった。