コンビニで見た少女。
髪を一つにくくり、ラフな格好こそしていたが、すらりと伸びた手足、どことなく品のある立ち姿、はっきりとした目鼻立ち。
俗に言う、美人であった、と弘輝は思う。
闇夜に慣れた目、コンビニの光や一瞬のことであったのではっきりとはわからなかったが、これでも目は良い方だ。人の特徴を捉えるのも得意な弘輝は、その面影が幼少期の真尋と重なる、とも感じていた。
そして同時に、斜め前の地味女にも似たような雰囲気を感じるのだった。
しかし、地味女はコンビニの少女、まして幼少の真尋などにはとても似つかない風貌である。
美人の要素は確かにある。
が、鈍重な動作、無造作にまとめた髪、ぼそぼそとした発声。
彼女の動作のどれをとっても、幼少の真尋のイメージとそぐわない。
やはり、他人のそら似だろう。
実際、そういうことはままあることなのだ。
授業終わりのチャイムに思考をかきけされ、そう弘輝は思い直して教室を出た。