真尋は、もう少しでゆで上がってしまいそうに顔を赤く染めている世界史の先生に同情しつつ、昨夜のことを考えていた。

暗闇に浮かぶ金髪。
金髪など不良ならいくらでもいるものだろう。
一瞬目のはしに映った程度のこと、何をそんなに気にしている…。
確かに弘輝がそういう種の人間ではないとは言い切れない。
むしろそういう目線で考えればいくらでも疑う要素はある。
しかし、真尋はそうは思いたくない自分に気がついていた。
夜寝ていなければしっかりとした身体は作れないこと、ファッションで派手な色に染める人もたくさんいること。
だが、もしそうではなかったら。
嫌な想像が浮かび、首を振ってぬぐい去る。
私は役目がある…。
そのために、静かに学校生活をおくらなければ。