授業が進むにつれて、弘輝の興味は、斜め前の地味女に向けられていった。
顔はよく見てない。
が、本能的に美人だろうというのは予想が付いていた。
制服は綺麗に着こなしている。
スタイルもいい。
髪質も良好。
ほのかな香りまで漂ってきそうな……。

「…づき!望月!!」
教壇に立つ禿げたおっさんの酷いダミ声で微睡みから覚める。
普段はがっつり寝ているから気付かなかった声が届くようになるくらいには覚醒していたらしい。
ちらっと確認した教師の顔が憤怒に染まっているのを確認すると、そっと目を閉じた。