世話したくなるような手のかかる男って。
ヒモみたいな男はゴメンなんですけどー!!
……と言い返そうとしたところで、私のスマホが鳴った。
バッグからスマホを取り出して画面を見ると、着信のようだ。
見たことのない番号からだった。
「誰から?電話?」
「んー、登録してない人からだなぁ」
「出てみたら?変更したの直してないんじゃないの?知り合いかもしれないし」
一緒になって画面をのぞき込んだ渚に急かされて、とりあえず電話に出てみる。
「はい、春野ですが」
『こんばんは。神宮寺です』
「………………あぁー、なるほど!こんばんは!」
電話の相手が神宮寺くんだと分かり、もらった番号を登録し忘れていたことを思い出した。
家のテーブルの上に置きっぱなしだ!
妙な返事の仕方をしたっていうのに、相手はまるで気にすることもなく淡々と続けた。
『仕事が早く終わったので連絡したんですけど』
「早くって……え、この時間で早いの!?」
腕時計を見ると、20時。
てことは、あの合コンの時は無理やり仕事を終わらせたってことらしい。
『無理ならいいです。じゃあ』
「あーーー、ちょっと待って!」
電話を切られそうになったのが分かったので慌てて止めた。