「待って」
と、低い声でリョウ君。

えっ、とリョウ君を見る
私と友平君と、理恵ちゃんの目。
この、2×3=6の視線を
全く気にも止めず、
リョウ君は、私から視線をそらさず言う。

「ちょっと 来て」

イタイくらいに手首を強くつかんだまま
リョウ君は、ずんずんと進む。

イタイ心と
イタイ手首。

でも
嫌じゃ、ない。