友平君は、固まった私の肩に腕をのばし、
歩き出した。

何も考えられない私は、
されるがまま
うす紫色の傘を
顔がかくれるように少し下にさげ
一歩 また一歩、と
足を動かした。

横断歩道のまんなかあたり。
傘で隠れて前がみえないけど
足元が、見える。
理恵ちゃんの、茶色いローファーと
リョウ君の
黒い革靴。

・・・・立ち止まるな。
・・・・立ち止まるな。


「おっ、リョウ!」