家についても、家に着く前までも、腕を引っ張る真は振り向いてもくれず、声をかけてもくれず。
怒っているのか、そう思ったけど怒る理由が見当たらないしわからなかった。
昔は真のことなら一番になんでもわかっていたのに今はなんにもわからなくて。
「俺、ちょっと出かけてくるから」
リビングで大好きなチョコモナカを食べていた私に扉の方から真が声をかけた。
「あ、いってらっしゃい…」
栞さんのところへ、行くのだろうか。
さっき栞さんは辺りを見渡してもいなかった。
もしかしたらどこか、行っていたのかもしれないし。
私を先に帰すためにわざわざ…。
まあ、その理由も全くわからないんだけど。
あー…もう考えても答えが出ない。
ガチャと鍵を閉める音が聞こえ、私は最後の一口のチョコモナカを口にし、ゆっくりと目を閉じた―…