「…ま…っ」
駿が握っている反対側の腕をひっぱっていたのは、なぜか汗をかいている真で。
「…駿、お前っ…!」
「言っとくけど、泣かしてんのは俺じゃねえぞ」
「は…?」
駿は私より先に降りると、私には聞こえないような声で真と話をして去ってゆく。
私はただ、首を傾げることしか。
駿が強く握っていた手を、見つめることしかできなくて。
「あ…っしゅ…っ」
「心、」
「え?!」
「帰ろう」
「まこ…っ」
栞さんはどこへ行ったのか、駿はどこにいくのか。
私は何も聞くことができず足を止めることができずただ掴まれた腕に引っ張られながら帰ることしかできなかった。