「別に泣いてねぇし」
「懐かしいね」
「え?」
「よく、乗ったよね。二人で」
外を見渡すと、一日回っていたせいかもう気が付けば夕日が見えていて。
観覧車に乗るにはぴったりの時間だった。
「あぁ、乗ったな」
窓の外を見ていた私につられて駿も外を見る。
それはあの頃と変わらない、懐かしい、懐かしい光景だった。
―――――…
――…
『わあっしゅんみて!ゆうひだよ!』
『みれないよぉ…っ』
観覧車が大嫌いで、高いところが大嫌いで。
だけど私が乗りたいっていうと絶対嫌だなんて言わずに付き合ってくれた駿。
隣に座って手を繋いで、一緒に見る夕日はすごく綺麗で。