栞さんも合流し、街を歩き始める私たち。
「ここが郵便局!」
「へぇ…駅から近いんだね」
「うん。でもせっまーい街だからここしか郵便局ないんだけどね。えへへ」
この街が本当にはじめての栞さんは私たちの後ろで真と手を繋ぎながら、きょろきょろと辺りを見渡す。
「真たちが住んでいたところに比べたらだいぶ、田舎でしょう?」
真たち…ううん。
私のおばあちゃんが住んでいたところは大都会で、周りはビルだらけだった。
コンビニも歩けば10分以内には見つかるし、電車に乗ろうとすれば満員電車。
それに比べて私の住んでいるこの街は、ビルなんてひとつも建っていなければ、コンビニも車でいって10分でやっと一軒見つかるくらい。電車は空き空きだし、辺りは田んぼだらけ。
そんな、なにもない街に真が好きだからと言ってもついてくるなんて―…
「私はこの街、好きだなぁ」
「…え?」
「だって何もない、誰も私を知らない。こんなにきれいな街他にはないよ」