「…え、なんで?」
目を見開き、その場に硬直する。
だってそこにいるのは、スヤスヤと枕を抱きながら寝ている真の姿があって。
なんで、ここで寝ているの?
そう思って起こそうとするが、その気持ちよさそうな寝顔を見るとどうしても起こすことができなくて。
「真の寝顔、初めて見るなぁ…」
小さい頃ずっと一緒に寝ていたけど私が起きる前には真はもう必ず起きていて、真の寝顔を見たことは一度もなかった。
真がいなくなってから見る機会なんてあるわけなかったし。
「っ」
ふと、頭に過ぎった言葉に胸が痛くなり左胸に手を添える。
「なに…急に」
“栞さんは見たことあるのだろうか”
ふと、そんなことを考えた瞬間、胸が潰されるんじゃないかと思うくらい奥からぐうっと痛くなって苦しくなる。
だけどふうとゆっくり息を吐くとなくなっていくその痛み。