「…ていうか用事はなに?ないならさっさと出てってほしいんだけど」
「、心さ」
「…?」
頭の上に置かれていた手を振り払い、腕を組んで真に背中を向ける。
だけどいきなり出た低い声に私はゆっくりと振り返った。
「心は、俺に会えて嬉しくない?戻ってきてほしくなかった?」
「は…、なにきゅう、に…」
「俺は心にまた会えて嬉しいよ。だって俺たちふたりでひとつじゃん」
“ふたりでひとつ”
それは私がお母さんに聞いて、真はもう覚えていないと思っていた言葉だったのに。
「ずっと会いたかったよ、俺は」
「…っ」
真っ暗闇の中。
さっきまで見えていなかった、真の顔がどんどんとしっかり見えるようになってきて。
「まこ…っ、」
バチっと、目が合った瞬間私は真の腕の中に、いた。