『や!ここはこれがほしいの!』
『うーん…だけど心。お父さんこれ取れなかったんだ』
『やぁ!とって!』
もう何千円も、その台にお金を入れて必死で私が欲しがっていたパンダを取ろうと必死になっているお父さん。
諦めようとしたけど、泣きだす私を見てなかなかやめられずにいたとき
『おとうさん!だっこして!』
『え?』
『ぼくがボタンをおすよ!だから抱っこしてっ』
私の頭を撫でていいこいいこして横に立っていた真がいきなりお父さんに声をあげた。
その声に私もお父さんもビックリして、だけどお父さんは真の言葉にうなずくことしかできなくて。
『これで届くか?』
『うん、だいじょうぶ。じゃあおすね!』
まだ小学一年生の小さな手で、泣いている私の為に必死になってガラス窓の奥にいるパンダにへばりついて。
そしてアームが開いた瞬間、そのパンダは奇跡のように引っかかってついてきてくれた。