「おい、駿!酒買って来い酒―!」

駿の方を振り向こうとした瞬間呼ばれた名前に、彼はすっと立ち上がっておじさんたちの元へ行く。

今日一日、駿の様子がおかしいと感じていたけど…うんやっぱり変だ。

「俺未成年なんだけど」

「いいから酒買ってこーい!」

「うふふ。私も一緒に行くよ、駿くん」

駿に声をかけようと手を伸ばしたとき、その手はその声によってピタッと止まった。

「いやいや、栞ちゃんは真の彼女だろう?ゆっくりしてろゆっくり~」

「いえ、いいんですよ。ちょうど買いたいものもありましたし。ね?行こう駿くん」

そういって駿の腕を引っ張ってリビングを出ていく。

私は何も言うことができず、伸ばそうとした手を引っ込めてただ駿が買ってきてくれたチョコモナカを食べながらドラマを見た。

だけどなぜか、そのドラマもチョコモナカも…楽しくないし味がしなくて。

私はひとり、みんなにはばれないようにそーっと、リビングを出て部屋に戻った。