だけど―…


「あ、」

歩いている途中で私の席に誰かが座っていたのがわかり足を止めた。

そこには、黒髪の女性が座っていて。

「…席…」

私になんて気づくわけもなく隣に座っていた真とじゃれあって、笑いあっていた。

別に席くらいどうってことない。むしろあいつの隣になんて座りたくなかったからホッとしたぐらいだ。

私は持っていたお箸でテーブルに置いてあったからあげを二、三個お皿に取るとTVの前のソファに移動し腰を下ろした。

そこに流れている番組は、今人気の恋愛ドラマで。私はもぐもぐとからあげを口に含みながらそのドラマを静かに見ていた。

「アイス、食う?」

だけどこいつはいつも私を一人になんてしなくて。


手に持っていた私の大好物のチョコモナカを差し出してきた。