真を思い出さないようにして数年。
もうあの頃の痛みは、減ってきていたのに。
なのに―…
「今更、戻ってこないでよ…」
あいつを見るとあの頃を、あの日を思い出す。
今更、あの頃のようになんて―…
「心―!降りてらっしゃーい!」
腕を、顔に乗せて目を伏せていたとき下からお母さんの声が部屋まで響いてぱっと腕をおろす。
「…あー…こんな時間なんだ」
まだ、外が明るいから16時くらいなのかと思っていたのに。
時計の針はもう17時半を指していた。
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