ランドセルを起きに部屋に戻ろうと階段を上がると、私の部屋の隣の部屋の扉が開いていることに気付き、近づいた。

『…真?』

いるはずなんて、ないのに。

さっき下でお母さんの泣いている姿を見れば、嘘じゃないなんてことわかっているのに。


だけどただ、信じていたくて。

『俺らはずっと一緒だからな』

そういった、真の言葉を真のことを、信じていたくて。

ゆっくりと、部屋を覗いた。

だけどやっぱりそこには、なにひとつ真のものは残っていなくて。


『…まこ…っとっ』

昨日まで一緒にいて、一緒にTVみて一緒にご飯食べて一緒に歯を磨いて一緒に笑いあって。


なのに、なのに。

真は、なにひとつ私に言葉もかけないで黙って姿を消したんだ。