「わーい!ありがとう!」

その姿を見た私はぱぁと表情を変えて笑顔で鏡の前の椅子に飛び乗った。

「よし、これでOK」

「さすが駿。相変わらず器用」

「まあお前よりは器用だな」

「うっさい!」

昔、小さい頃、駿は私の髪をよく結ってくれていた。
自分ではできない髪型も駿に頼めば一瞬で。


駿が結ってくれる髪が私の中で今も昔も一番のお気に入りなんだ。


「んじゃいくぞ」

「はーい!お母さん、行ってくるね」

「あ、ちょっとまって!これ、心と駿くんのね」

カバンを肩にかけて靴を履いてドアを開けようとした瞬間後ろからお母さんに呼び止められ二人で振り向く。

そこにお母さんが手に持っていたのは、赤色と青色のお弁当袋で。