なのに、


「っ」


どうしてこんなにも胸が温かい気持ちになるの。

どうしてポンポンされた頭が熱を持っているの。


ねぇどうして。


嫌だったと、思えないの―…
顔が、にやけているの―…



後ろで心、駿、と叫んでいるあいつを置いてただ駿の腕を引っ張って早足に歩く。
今は会いたくない、いやだ、目を合わせたくない。顔を見せたくない。

「おい、ここ―…」

ふと横で呼ばれた名前に振り向くと、駿と目が合って、
駿は素早く私の顔から目を背けた。

そして、

「やっぱり…邪魔だな、あいつ。」

ぼぞっと言った駿の言葉は私には届かなくて。
ただ私は、後ろに着いてくるあいつを追いつかせないように歩いていた。