逃げるか、どうしようか。と駿を見ながら考えていると私の前に背中を向けたそいつは、


「こいつ俺の大事な妹だから。いじめないであげてね」

ぐいっと私の腕を引っ張りポンポンと頭をたたく。


なんで、なんで、なんで。

なんでこいつに助けられなきゃいけないの。


そんなの―…


「心」

「帰るっ」


約束を破って、私の前からとっとと姿を消して。私には連絡一つ寄越さなかったくせに。

なのに、今更―…今更帰ってきて。


「お兄ちゃんぶらないで…っ」


許さない。許すはずない。