「わた…「心」
「…え?」
立ち上がろうとした瞬間、駿はそれを阻止して私の腕を掴む。
「どうしたの、駿?」
声をかけても返事がなく、駿の頭を撫でる。
そして聞こえた声は、今までにない。か細く今にも消えそうな声で。
「…決めたの?」
その声を、言葉を聞いた瞬間私の中でなにかが沸き上がってくるのがわかった。
私の腕を掴んでいた駿の手をぎゅっと握り頬に当てる。
冷たい手。夏なのに。
バカだなぁ。ずっと私を探し続けてくれてたってわかる。
そう、あの頃からずっと。
駿は私を真っ先に探してくれるの。
迷っている私の前に手を差し伸べてくれたのはいつも、駿だった。
「うん、…決めた。」
ずっと、ずっと手を差し伸べてくれてその手にただ手を乗せるだけだった。
引っ張っていってくれるのもいつだって駿で私はそれにただついていくだけ。