「真」
「…え?」
胸を押さえていると不意に呼ばれた名前に顔をあげる。
「心は、あの頃のお前と一緒だ」
「は?」
何言ってんだ、こいつ。と首を傾げるが駿は言葉をやめなくて。俺を見るその瞳はじっと鋭い目をしていて。
「このままだと次はこいつがお前の前から姿を消すぞ。その前にさっさとどうにかしてやれ」
「どうにかしろって…俺にどうしろってんだよ」
「お前らがさっさと前に進んでくれねえと、俺まで前に進めねえんだよ」
こいつが、駿が心を好きなことは昔からわかってた。
駿はいつだって俺を俺のことを優先してくれて―…
「確かに。お前にはいつも一緒に止まってもらってばっかだな」
「わかってんならさっさとしてくれ。いい加減俺もきついってことわかれ」
「あぁ、そうだな。わかるよ、わかる。だけど」
もう少しだけ、待ってくれ。
きちんと伝えるから。
だけど、もう少し。
俺はスヤスヤと寝ている心の頬に触れて、ごめんなと呟いた。
Makotoside End