「好きってさ、なくせたらすげえ楽だよな」
「しゅ…」
「だけどそんな簡単になくせねえから、辛いんだよな」
「…」
「俺も、そうだよ。心」
そういった駿はゆっくりと私の体を離して顔がくっつくかのような近さでおでことおでこをくっつけた。
「お前に対する気持ちを消したくて、他の奴を好きになろうとした。だけどやっぱ消せなくて。でも伝えるなんてもっとできなくて」
「俺にとっての一番はずっとお前だった」
「駿っ…」
「お前にとって一番はずっと“真”。そんなこと昔からわかってる。きっとお前は今俺の気持ちと自分の気持ちと、考えて困ってんだろ？」
「…っ、」
なんで駿は私の考えていることをすべてわかるんだろう。
きっとそれは、私のことをずっとずっと見てきてくれたからで。
「俺はお前を支えたい。困らせたくない。だから今は俺の気持ちなんて忘れていい。お前のその気持ちを優先していい。…だけど」
おでことおでこがくっついたまま駿は言葉を止めることはしなくて。
