「んー…冷めてる」
「そりゃそうだ、お前が寝てるからな」
「もー…食べさせるならあったかいうちに食べさせてよ」
「起きないのが悪い」
「起こしてないじゃん!」
「いいから食え」
馬鹿な事を言いながらも久しぶりに口にするちょっと濃いソースの味はすごく美味しくて。
家ではあまり食べたくなかったのになんでだろう。駿の前だとご飯が喉を通る。
「やっぱり駿はお兄ちゃんだ」
「お前の兄は真だろ」
「あはは。それはそうなんだけどさー…なんていうのかな。真よりもずっと近くにいたお兄ちゃん。本当のお兄ちゃんみたいな」
戸籍上で言えば、本当の兄は真で。
だけど、現実で言うと駿の方が私にとってはお兄ちゃんだった。
真がいなくなって、泣いているときも笑っているときも私の隣には常に駿がいて。真の代わり、といったらなんだか言葉が悪いけど、でも本当に良い意味で駿は真の代わりだった。
真に会いたいのは私だけじゃなくて駿も一緒だったはずなのにそれでも駿は私を一番に考えてずっと傍にいてくれた。隣にいてくれた。