Side ShunMatsunaga


俺の腕の中で気を失ってスヤスヤと眠りについた、こいつ。心。

きっとずっと眠れてなかったんだろうな。
真に文化祭を一緒に回れないと言われ泣くの我慢していたの、わかってるから。

きっと落ち込んでひとりですべて抱えて。


泣いた心を抱きしめた瞬間に、頭に降りてきたものは

『…細い』

ただその一言だった。


真が現れるまで、いつも笑顔で笑って俺に負けないくらいばくばく食っていた心がダイエットなんて一切しなかった心がこんなにも簡単に痩せて窶れて。細くなって。


全部、全部心の感情を動かすのは、あいつで。


「もう、気づいたんだな…お前も」


保健室のベッドで眠っている心の頬を触れて呟く。

きっとこいつはこれから先もずっと気持ちをひとりで抱えていくのだろう。あいつと違って。
苦しくても人前では絶対に泣かないで隠し通して。またこうやって細くなって。

そんなこいつに俺ができること。それは、もうわかっている。だから俺は―…


Shun side END