コッペパンをジップロックから取り出して、電子レンジに入れる。
適当に時間を設定して、ぐるぐる回ってるそれを見つめた。
今度は懐かしい人が脳裏に浮かんだ。
とても優しい笑顔の人。
その笑顔を見てるだけでとても優しい気持ちになれた。
あの朝、結局、お母さんは怒ったままで。
『行ってらっしゃい』も言われないまま、私は泣きながら学校へ行った。
教室につくと泣いてる私をみてクラスメイトが駆け寄って来てくれたのを鮮明に覚えてる。
『かなちゃん、どうして泣いてるの?』
『かなちゃん大丈夫?』
って。
なにも知らないクラスメイトは心配そうにそう尋ねてくるから、それを優しさと捉えた私は更に泣いた。
担任の先生が元気な声で『おはようございまーす』って入ってきてもずっと泣いてた。
そして、岡本先生は泣いてる私に気付いた。