先生の後を恐る恐るついて行く。
初めて中に入る職員室はとてもドキドキした。
奥の個室へ入ると先生とふたりきりになった。
少しほっとした。
先生がゴソゴソと棚の中を覗いたりして『なんかないかな〜』なんて独り言を言ってる背中を私はずっと眺めていた。
すると、後ろのドアが鈍い音をたてて開いた。
棚から音のした方へ先生が向けて、『あ、萩原先生』と声を掛けて近付く。
萩原先生は保健室の先生で、私もよく怪我した時にはお世話になっていた。
だから『あら、野中さんどうしたの?』って笑顔を向けてくれた。
私は黙ったまま下を向いた。
『萩原先生、なんか食べ物ありません?』
『食べ物、ですか?』
『はい』
そんなやり取りを聞いて少し心が傷んだ。
『ちょっと待ってて、探してくるから』
そう言って岡本先生は出て行った。