「大丈夫だよ。たかが針なんだから。」

「たかが針、されど針!!その針さびてんだから体になんか入ったらどうすんの!!」



望果の心配性。

そう思いつつも、心配してもらえるのはなんか嬉しくて。

でも確かにジンジンしてる。結構。

血が止まらないし・・・指先の毛細血管ぶっつんかな?



「そこの馬鹿。」

「・・・。」

「おい、そこの馬鹿。」



二回目は頭が叩かれた。

聞き覚えのある声とは思いつつ、私じゃないと思ったから無視してたのに。



「・・・なによ、ボケ。」

「保健室。行くぞ。」

「はぁ?アンタだったら私望果と―――」

「ホント?じゃ、よろしくね。裕哉君ー。」

「ちょ、望果!!」



望果は私を立ち上がらせると背中をポンと押した。

裏切り者!!

そう思って睨み付けるが、「仲直りしておいで」とにっこり手を振られた。

なっちとともちゃんも無論同じく。


ずるずると引きずられるように教室を後にするころ。



「暁里が怪我したのすぐに気づくのさすがだよね。」

「保健室連れてくなんて裕哉やっさしー。」

「喧嘩してても、愛されてるんだねぇ。暁里ちゃん。」



違うから。


ねぇ、違うから!!!






必死な私の声、きっと届かないだろうけど。

(だって心の中で叫んだんだもの)