おばさんと何かを話していた男がこっちへ向かってきた。

そして、

ボクの目の前で立ち止まる。

「うん。これにしよう。きっと喜ぶ」

男の手が伸びてくる。

と、ボクを掴み持ち上げた。

ボクは男に抱えられ連れて行かれる。

何処に行くんだろう。

でもボクにはどうすることもできない。

何だかいい匂い。

男からほのかに甘い香がする。

男はボクを台の上に置いた。

あ。おばさんだ。

「これにするよ。いくらだい?」

「ありがとうございます。40$になります」

男とおばさんが何か話してる。

でもボクにはわからない。

「リボンは付けますか?」

「あぁ。ピンクをお願いしよう」

「かしこまりました」

ボクはおばさんに抱き上げられる。

あったかいなぁ

触れるおばさんの手にそう思う。

ガサガサガサッ。

ボクの下から音がする。

冷たい。

足元からボクのカラダに何かが纏わり付く。

何だろう。

次第におばさんの顔が見えなくなる。

おばさん、何をするの?

そして、ボクの視界から光が消えた。

ガサガサガサッ。

キュッ。

「お待たせしました。どうぞ。ありがとうございます」

おばさんの声がする。

「ありがとう」

男の声が聞こえ、ボクのカラダが浮く。

何も見えない。

ボクはどうなるの?

カランカランカラン。

扉の開く音がする。

外に出るんだ。

ボク、外を見たことないから見たいなぁ。

でも見れない。

動くことも。

ねぇおじさん。ボクをどこに連れて行くの?

答えは返ってこない。