職員室で再会してから、葵が連絡してくることなく1週間が過ぎた。


覚悟はしてたつもりだったけど、やっぱりショックだった。


葵は、俺と亮太が友達だって知ってたんだろうか。


もし知らなかったら、少しは驚いたんだろうけど。


驚いたくらいじゃ、連絡してこねーよな。



チラシの効果があったのか、今年は去年よりも申込みが多くて、各小学校で午前午後の2回に分けて体験レッスンをやることになった。


その準備に忙しくて、朱里とちゃんと向き合えずにいた。


週末も泊まることはなかった。


もしかしたら、忙しいのを言い訳にして、朱里を避けていたのかもしれない。


葵と再会してから、葵のことしか考えてないし。


会社でもあまり話してなかった。


そのまま、ゴールデンウィークに突入した。


小学校を日替わりで4校まわって、最後が南小だった。


慎一と二人で分担して子どもたちとサッカーしてると、本当に楽しかった。


昼休憩中、ひょっこり亮太が現れた。


「サク、お疲れ」


「亮太、どうしたんだよ。


あ、慎一、こいつ俺の大学の同級生で、南小の先生なんだ」


「どうも、サクの同期の丸山慎一です。


世の中狭いな」


「村野亮太っていいます。


これからもよろしく」


「亮太、今日休みじゃねーの?」


「休みだけど、サクを冷やかしに来たわけ」


「なんだよそれ、暇なら手伝え」


「しょーがねーなー」


午後の部は、亮太にも手伝ってもらった。


子どもたちは、村野先生が突然登場して、大喜びだった。


大好評のうちに体験レッスンは終わり、慎一と亮太は校庭で用具を片づけ、俺は職員室へ挨拶に行くことになった。


「ごゆっくり」


慎一がボソッと俺にささやいたけど、意味がわからなかった。