そうだ。いらないものはすぐに切り捨てるそれが冷徹社長。


きっと、この人は操られていたふりをして、本当にいらないと思った人間は自分の意思で切り捨てていたのかもしれない。


それくらい冷たく響き渡る『いらない』の声。


でも、それはさっき私を『愛してる』と言ってくれた諒と同じ唇から発された言葉。


「・・・捨てられるわけには、いきません。私はジョルフェムが好きで、社長が好きだから、いらないと言われたら必要だと言われるように頑張ります」


だからきっと『いらない』ということは必要だから、『がんばれ』という激励だと信じたい。


何ができるかなんて今はまだ本当に思いついたりもしない。もしかしたら、何も出来ないかもしれない。それでも私は、やるしかない!


「そうか。なら期待している。じゃあ、俺は今から社長を脱いでみぃに一つだけ言ってもいいだろうか?」


「泣かせて悪かった」とソファから下り、私の涙を拭う姿はさっきまでの冷徹社長の姿ではなく、恋人を優しく気遣う男性の姿だった。


「社長の俺は、お前に一切優しくしない。公私混同はなしだ。お前が何も出来ない一社員ならそれ相応の処遇を考える。だが、社長を脱いだ俺は、お前を愛するただの男だ。だからそのときは思いっきり俺に甘えてくれ。お前に頼まれたときは社長を脱いでやるから」