「遅くなっちゃったし送るよ。電車?」
「い、いいよ。大丈夫。徒歩で来れるぐらい近いところに住んでるから」
遠慮してるのかすんなりと受け入れてくれない。
「俺も家すぐ近くだから。送らせて。」
そう言うと森川は申し訳なさそうに納得してくれた。
俺たちは靴箱で上履きからローファーに履きかえ、学校を出る。
そしていま森川と一緒に帰ってるんだけど…
「次、左に曲がるよ」
森川が案内してくれる道は、俺が毎朝毎晩いつも通ってる見慣れた景色と全く同じだった。
「ここで大丈夫。送ってくれてありがとう。」
「え…」
「ん?」
まじかよ。
「俺んち、それ」
俺が指を刺した方を一斉に見る。
「え?」